ポピュリズムの否定は、ポピュリズムの肯定と同じくらい危険

h
Landsgemeinde Trogen 1814


ポピュリズムと聞くと、知的で理性的な市民よりも、政治知識を持たない感情的な大衆が増大することへのネガティブな側面がたびたび強調されているように思います。

しかし本当にそうなのでしょうか。ポピュリズムを選択するということにはどんな合理性もないのでしょうか。今回はアントン・ペリンカの「ポピュリズム:概念の経歴」[1]という論文がありましたので、それを読んで見たいと思います。

ドイツ語のガイストと日本語の精神―知性のない精神

RobertFuddBewusstsein17Jh

ドイツ語で精神を「Geist(ガイスト)」と言うのですが、この言葉には、相反する矛盾した意味があります。ガイストは、人間の知的な側面を表すと同時に、他方では霊的存在とか幽霊という非知性的な意味もあります。いつも疑問に思うのですが、なんでこんなに違う意味がひとつの言葉で表現されているのでしょうか。

宗教と経済の関係―宗教が必要になる社会的要因

HEB project flow icon 02 charts and calendar前回までどうして人は宗教を必要とするのか、社会学理論を中心にして長々しく考察してきました。今回は、実際にこの点についていくつかの統計データを使いながら考察していきたいと思います。もちろん、一番の問いは、経済的に裕福か貧しいか、その違いがどれほど宗教の必要性に影響を与えるのかということです。

宗教とは何か―本当はみんな宗教を必要としている?(2/2)

前回は、いまどき宗教など全然必要ないのに、信仰を持つ人がいるのはなぜなのかということについて考えました。過酷な現実を生きる不幸な人に対して、一定の救いを与えるのが宗教であることがわかってきました。しかし今回は、そうした不幸な人だけに限らず、幸福な人も宗教を必要としているとする社会学者トーマス・ルックマンの議論があります*1ので、それを見ていきたいと思います。

praying

宗教とは何か―いまどき宗教を本気で信じてる人ってどうなの?(1/2)

ReligijneSymbole

どうしても理解できないものの一つに、宗教というものがあります。いまや神などというものはどう考えても存在していないはずなのに、それを信じる人がいることが、どうしても私には理解できないのです。

いまだに本気で信仰している人は現実を直視できないバカなのだと切り捨てることはできます。しかし、すべての行為者は合理的に選択するという(合理的選択理論的な)前提に立ってみると、現代においてさえ、宗教には重要なメリットさえあるのではないか、と考えてみたくなります。

安全保障のジレンマ―安全は保障しようとするほどできなくなる?

8月15日に終戦記念日を迎えたこともあり、今回は、現在の日本の安全保障政策と憲法9条について考えてみたいと思います。

他国の軍事的な脅威があるなら、抑止力を高めることが必要だという主張があります。しかし、こちらの抑止力を高めることが、相手に軍事的脅威だと認識されたらどのようになるでしょうか。相手もまたさらに抑止力を高めようとするでしょう。そうなったとき、こちらもさらに抑止力を高めなければなりません。しかし相互に抑止力を高めあえば、際限ない軍事費を前に双方とも損をすることになります。

US and USSR nuclear stockpiles

児童手当は月額10万円が妥当?


貧しい人に生活保護は与えるのは、マジメな人ほど損をするので許せないということが言われています。コストを支払わずに一方的に恩恵のみを受けるフリーライダーは許せないというわけです。この前提に立ってみると、児童手当は一人につき月額10万円くらい払わなければならなくなるのではないか、と考えてみます。

Strolling