社会的ジレンマ―社会問題を起こすのは誰か

a dilemma

社会問題が起きるのは、バカな人間がいるためだと考えられがちです。

しかし本当にそうと考えてよいのでしょうか。

社会的ジレンマという考え方は、社会問題を起こすのは、バカではなく、合理的な人間であることを想定します。

今回は、この発想からどのように社会問題が起こるのか考えてみたいと思います。


音楽に政治を持ち込んでもよい条件―芸術の自律性のパラドックス


フジロックにSEALsの奥田愛基氏さんが出演することに対して、ツイッターで「音楽に政治を持ち込むな」という非難が起きていることが話題となっています。

ここでは音楽(芸術)と政治の関係について次の2点から考えてみたいと思います。

(a) 絶対に芸術に政治を持ち込んではならないという考えは、本当に非政治的なのか。
(b) 時には芸術に政治を持ち込んでもよいという考えは、本当に政治的なのか。


Joan Baez Bob Dylan

日本人は日本を批判できるのか―自己言及のパラドックス



Paradox


「自己言及のパラドックス」と呼ばれるものがあります。「クレタ人はいつもうそつき」だとクレタ人が言うことはできないというパラドックスです。もしクレタ人が本当に嘘つきなら、「クレタ人が嘘つき」だというそのクレタ人も嘘つきになるからです。

このパラドックスを応用すると、日本人が日本を批判することはそもそも不可能にならないでしょうか。「日本は間違っている」と日本人が言うなら、その日本人そのものの見解が間違っていることになるのですから。

そこで疑問が生じます。自己批判などというものは、実際にはどうやったら可能なのでしょうか。