リアリズムの芸術―虚構と現実のはざまで

Adolf Friedrich Erdmann von Menzel 031

19世紀半ば、芸術スタイルの主流は、ロマン主義から写実主義(リアリズム)へと変わりました。ロマン主義が好む虚構性を廃して、現実をありのままに捉えるスタイルが流行したのです。

しかし芸術がありのままの現実を捉えるなどということは可能なのでしょうか。ロマン主義にとっては、現実から離れることこそ、芸術の存在意義を確立する根拠だったわけですから、リアルを模写してしまえば再び芸術の存在意義を失ってしまうことにならないでしょうか。なぜこんなややこしいことをわざわざするのでしょうか。前回の著書[1]を読みながら考察していきたいと思います。

on December 06, 2016 by Koutaro Yumiki | 1 comment